ヨンパチ女形画報 VOL.3[女塾B]

11thGIG『GEIDO』本番まもなく!!
最近は稽古してます。当たり前だ。

稽古はもちろんだが、しかし役者たるもの、不断の努力が物を言う。というわけで、女塾第三弾!いよいよ最終章!!

《ただでさえ美しい女形市村》は、さらに女を磨くべく、三人の女性講師を迎え、これまでアロマ・ハーブ・メイク・ネイルと挑戦し、もはや本番を待たずして、わたしの美しさは人々の賞賛、いや、驚嘆さえ勝ち得たといっても過言ではない。
それも、市村圭蔵の素質あってのものだが、やはりここはもっと謙虚に、何と言っても三人の女性講師のご指導の賜物だと言っておこう。いやもう、「三匹の侍」と言いたい。

中3の息子を抱えながら、着付けからメイクまで幅広く活動するあつよ先生(取材当日には手作りのフォッカッチャまで差し入れてくれた)。
ネイリストのLINDA先生は様々なイベントに参加するだけじゃなく、自作を抱え、ロサンジェルスの展示会に出品したというツワモノだ。
いやはや、昨今の女性のバイタリティたるや、男の自分からは圧倒的とも言える。脱帽したくはないが、片手が帽子のつばくらいには伸びている。指がふるふるしている。

そう。第三弾は帽子。お帽子です。(強引に導入)

◆ 「COLORFUL」写真
10色のインドシルクをワイヤーに通して結んで作っていく。玉虫のような不思議な光沢と色バランスが命のラグジュアリーな帽子。

写真 ←これ、きっと似合わないだろうと思ってわざわざ用意してもらったのだが、しかし案外に違和感がなく、笑えない。

急遽、こんなことに…
写真1 写真2
ルナシーのドラマーかよ!ご本人、嬉々としてやっていた。
写真1 写真2
…稽古、大詰めです。

《拝啓、大濱琥太郎様。
いよいよ11thGIGが一週間前に迫りました。最近、演出卓に座るあなたの体が透き通るように見えますが、体調いかがですか。野菜、摂ってください。》

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本番一週間前、何もしないでもカウパー出てます。汁という汁が穴という穴から垂れ流しです。『ショーシャンクの空に』と名付けたいような、稽古場から脱走者が出てしまう修羅の季節。

そんな切羽詰まったタイミングで登場してくれたカラーの魔術師、帽子作家のヒナゲシ・ヒイロ先生だ。

【講師紹介】
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ヒナゲシ・ヒイロ 写真
◇カラーアーティスト(帽子作家/配色家)
日本人離れしたカラーセンスと言われる、『ヒナゲシ・ヒイロ』オリジナル帽子達。
身につけると毎日が、そして心がカラフルなシアワセに包まれるHAPPYアイテムをお届けしています。

〜 cute & elegant
   オトナのカラフルがココにある 〜

世界中の心にカラフルなシアワセを伝えたい。それがヒイロの願いです。

Color Your Life.
毎日が色あそび。
それは人生そのもの〜*

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前回、前々回に引き続き、銀座は某超高級ホテルのスイートルームにヒイロ先生をお招きし、という嘘も織り交ぜつつ、そして、今回ばっかりは、帽子を作ってみようっ!てわけにはいかないんで、インタビュー形式で、事を進めることになった。

市村圭蔵の初取材である。
極度の緊張。

◆ヒナゲシ・ヒイロにここが聞きたい!
市村┃はい・・・えっと・・・よろしくお願いします・・。
ヒイロ┃よろしく〜!
市村┃ええ・・・えっと・・・うん・・・。
ヒイロ┃・・・。
市村┃・・・(汗)
沈黙。
秋山┃どういう風に作っているのか、とか・・・。
のっけからヨンパチ広報秋山さんから助け舟が出航する。
市村┃あっ・・・えっと・・・そうか・・・(冷や汗)
秋山┃ヒイロカラーのこと、とか・・・。
市村┃ヒ、ヒイロカラーの、ご、ご説明から伺います。
◆ヒイロカラーとは?
ヒイロ┃えっ?何ですか?
市村┃あっ、ヒ、ヒイロカラーの、ご、ご説明から伺います。
ヒイロ┃あっ、はい。ヒイロカラーのヒイロというのは色の名前なんですよ。ちょうどオレンジみたいな。緋色ってあるでしょ?写真
市村┃なるほど(頭、真っ白)
トラ┃あっ、そういう意味なんだ。糸偏に非?
ヒイロ┃そうそう。よく、非常識の非って言われるんだけど。ちがうちがう。緋毛氈の緋なんだけど、って。(笑)
トラ┃じゃあ、ヒナゲシ・ヒイロという名前も、そこから来ているの?
ヒイロ┃そう。ヒナゲシはポピーのこと。大好きな花がポピーなんです。
市村┃・・・(琥の穴?)
ヒイロ┃ヒイロカラーはオトナのカラフルをテーマにした、ヒナゲシ・ヒイロ独特の配色の事を呼んでいます。独自の呼び方ですね。
◆家作りから始まった
市村┃ヒ、ヒイロさんは、カラーアーティストで、そ、それがどうして帽子、なんですか?
ヒイロ┃もともと、配色に興味があったんです。デザイン学校のパーソナルカラーの講師もしていたんだけど、教えるの向いてない、作るほうがいいなと思って。だけどカラーアーティストなんです、色をやってますって言っても、何をやっている人なのか分かりづらいでしょう?
市村┃そ、そうで・・・
トラ┃そうだよねえ。
ヒイロ┃帽子は表現ツールのひとつで、帽子が好きだから、まあ、帽子でもやろうかなと、わりと簡単に決めてしまった。
トラ┃なるほど。
市村┃ぼ、帽子以外にはないんですか?カラーを・・・カ、カラーで・・・求めたところはないんですか?
ヒイロ┃ああ、あのね、家。
市村┃家?
ヒイロ┃うん。
市村┃ヒイロさんの家?
ヒイロ┃そう。あれがカラーアーティストを目指した最初だったかな?96年に、家を建て替えるからって言って、でも私は図面を描けるわけじゃないから、イメージだけ伝えて、製図だけは描いてもらって、インテリアの部分を自分で決めた。部屋ごとに色を変えたんですよ。壁紙とかドアノブとかタイルとか、ぜんぶ自分で探してきて、タクミを担いで、タイル担いで、みたいな。
秋山┃タクミ?
ヒイロ┃息子です。3才のタクミを抱えながら作業したから腕が太くなっちゃった。
市村┃家を作って、その流れで帽子なんですか?
ヒイロ┃まだまだ。それから、子供の服を、ピンクとか紫とか使って作って、ああ楽しい、やっぱり私は色が好きなんだ〜って思って。
秋山┃前は専業主婦でらしたんですか?
ヒイロ┃そうです。
秋山┃ええ?想像つかない・・・。
ヒイロ┃それで、子供もいつまでも子供じゃないし、私もなんかやろうかな〜、なんかないんかね〜と考えて。でも、家じゃいっぱい作れない。(笑)
市村┃そうですね。
ヒイロ┃それで、タクミが小学生のときに今の仕事をはじめたんです。
写真 コミュニケーションの色と言われる、黄色の明るいリビングルーム。ヒイロ先生はインテリアのプランニングなどもしているそうです。
詳しくはヒイロ先生のブログ(PCのみ)でチェック!⇒http://www.office-poppy.com/category/100743-1.html

◆帽子作り
市村┃えっと・・・帽子を、つくる、うえで、なにか、なやみは、あるか…(カタコト)
ヒイロ┃悩み?工程上ってこと?
市村┃は、はい・・・
ヒイロ┃工程上は、あんまり・・・。あっ、帽子にしたいなって素材を見つけても、形になりづらいものとか、無理があればあるほど、工夫しなきゃなってところは あるけど・・・。
市村┃そうですか(ふたたび、頭、真っ白)
秋山┃そうだ(汗)!帽子の型を使わないっていうのを前に聞いて、意外だったんですけど。
ヒイロ┃私は、ミシンで縫って、合わせて。
秋山┃布を立体的に造形していくってこと?
ヒイロ┃たとえば、これなんかはギャザーを入れて、六枚の三角の布を縫って合わせて形にしていったんです。
写真<ピンクひらひらシリーズ帽子>
ヒイロ┃これは、長いワイヤーにインドシルクの筒状にして、通して、それで、冠状態にしたんです。インドシルクは張りがあったり、光沢があったりして、こういう造形に合ってる。→写真1 写真2<地中海の花畑>
秋山┃この花みたいなのは?
ヒイロ┃布の先が三角の切れっぱしになってるので、それが花に見える。
秋山┃なるほど〜。
ヒイロ┃なんかこういう簡単にできて、あれ、こんなのできちゃったよ〜、みたいな。そういうのが好きで。だから、日常で被るような帽子より、ヘッドドレスとかのほうが自由度が高くて、作ってて楽しい。配色が生かされたもの。布の面白さを生かしたもの。すでに帽子じゃなくて、工作してる感じです。
◆2007年・agete青山本店にて
ageteの全てが表現されている青山本店。そのギャラリースペースを使用し、「身につける」をキーワードに様々なイベント開催。その第一回目にヒナゲシ・ヒイロ先生が登場した。
●Gallery Space vol.1 agete×ヒナゲシ・ヒイロ●
写真1 写真2 写真3
写真4←今回の冒頭で被らせていただいたもの
ヒイロ┃ageteとの話し合いの時に、ブライダル6点もいれましょうか?という話になって、たまたま羽が見つかったので、素材を見て、この作品が生まれたんです。
市村┃アガタってなんですか?
ヒイロ┃アガット。
市村┃あ、アガット。
秋山┃すごい人気のあるアクセサリー屋さんですよ。
ヒイロ┃人とのご縁を大切にしたい。同じ想いのageteさんからお声かけいただき、嬉しいコラボイベントの1回目を飾らせていただく事になりました。モダンでクラシカルなageteテイストとヒイロのカラフルさがブレンドされ、ほんとうに素敵な3週間でした。溢れる程多くの皆様にお越しいただき本当にシアワセな時間でした。心から感謝です。
◆作品はすべて一点もの?
市村┃こ、こうして見ていると、作品は全て一点ものみたいですけど。
ヒイロ┃全てではなく、2スタイルあります。パターン(型紙)を作って同じものや柄違い布違いを作るプレタポルテスタイルと、作りながら創作して行くオートクチュールスタイル。どちらも簡単ではないけれど、パターンから作るものは、お客様が気に入ったものを同じように作って提供出来るし、その時の感性が生かされるオートクチュールスタイルは、似たものを作ろうとしない方が生の良さを一つ一つに生かすことができる。写真
市村┃なるほど。
トラ┃アイデアはやりながら出てくるの?最初からプランがあるとかじゃなくって?
ヒイロ┃そう。
トラ┃ノープランで、なんとか突っ込んでいくみたいな?きっちり決めて、デザイン描いて、ではなくて。
ヒイロ┃その作品がオートクチュールスタイルでも、お客さんに同じのって注文される時もあって。それで同じものを作ろうと一生懸命作ろうとするんだけど、出来上がりがよろしくない。
トラ┃どんなだったか、もう分からねえよ、みたいな?
ヒイロ┃そう。同じもの同じものってやってると、つまんなくなってきちゃって。
トラ┃ああ、なんか分かる。
ヒイロ┃だから、そういう注文には、似たようなものにするから、あとは任せて、みたいな。やっぱりそのときの、生もののほうが一番いい物ができると思う。舞台なんかもそうでしょう?
トラ┃そうですね。自分のいいところをなぞろうとするとダメになるんですよね。縮小した自分になる。それを超えないと同じにならない。
ヒイロ┃だよね!
秋山┃お二人に共通点がありましたね。
トラ┃で・す・ね。
でーん
市村┃・・・(だから『琥の穴』じゃねえよ)。
◆今後の活動
市村┃ヒイロさんの、今後の活動予定は?
ヒイロ┃9月にパリの展示会を視察してくる予定です。
市村┃パリ、ですか。フットワークがいいですね。俺なんて、渋谷に行くにも、小一時間は悩むのに…。
ヒイロ┃ヒイロカラーは、日本より海外での展開をお勧めされる事が多いし、自分でもその方が良さを生かして行けると思っているので。
市村┃国内での活動は?
ヒイロ┃帽子以外の配色を生かしたアイテムも増やして行こうと思っています。小物類やインテリアは、カラフルなヒイロカラーを取り入れやすいと思うので。 それから、カラフルが特色のヒイロですが、7/30から2週間、代官山のギャラリーショップで、企画展『モノクローム展』に参加します。
市村┃モノクロ?ヒイロ先生はカラフルヒイロでしょ?
ヒイロ┃ヒイロのモノクロを。
市村┃それは確かにイガイです。
ヒイロ┃9名の様々な作家、それぞれの表現のなかで、どう魅せるか、自分自身もすごく楽しみにしています。 詳しくはこちら⇒アートラッシュ
◆なんで女形をやってるの?
市村┃では、本日の取材はこのへんで。どうもありがとうございました(インタビュアーとして猛省中)。
ヒイロ┃ところで圭蔵さんは、なんで女形をやってるの?
市村┃えっ?
ヒイロ┃ねえ、なんで?
秋山┃あっ、逆取材?
市村┃他にやり手がいなかっただけです。
トラ┃消去法です。
ヒイロ┃消去法?
トラ┃他のメンバーは顔が濃すぎる。
市村┃笑いにしかなんない。
ヒイロ┃でも、女形は好きなんでしょう?
市村┃好きっていうか・・・まあ、気が楽っていうか・・・。
ヒイロ┃気が楽?!なんで?!なんで?!なんで?!
市村┃いやっ、気が楽って言ったらおかしいけど・・・男をやるよりは・・・。
ヒイロ┃どうして?!なんで男だと気が楽じゃないの?!
トラ┃分からねえなぁ。
ヒイロ┃だって、圭蔵さん、男じゃん!
トラ┃俺は、女なんかやったら固まっちゃうよ。
ヒイロ┃でも、トラさんのも一回見てみたいよね。
トラ┃コントだったら、いくらでもやりますけどね。マジでやるっていうのは・・・。
ヒイロ┃で、なんで気が楽なの?!
トラ┃俺も聞きてえなぁ。
秋山┃私も聞きたい。
市村┃なんだろうな・・・声の出し方とか・・・。
三人┃・・・。声の出し方とか・・・。
市村┃ヨンパチの場合、けっこう、強い男を求められるというか・・・だから、声を張るときとか、力んじゃったりして、ダメっていうか・・・。でも女形だと、そういうのがなくって、普通に男の低い声を出していれば、それだけで強い女に見えたり、体格ももともと女性よりはがっしりしてるわけで・・・そういうところはある・・・
ヒイロ┃こういう女性像でってイメージしてやるの?
市村┃とくにないです。女性像はセリフに書いてあるんで。それ以上のことを役者がやろうとするとおかしなことになるんじゃないですか。女形をやるからと言って、なにか特別なことをやっているわけではなくて。やっていることは男役をやっている時と同じです。たぶん、これで女をやってやろうとすると途端に気持ち悪くなるんじゃないかと思います。メンバーに白い目で見られることは必至です。男が女をやるという強みを最大限に利用しているんです。
写真1 写真2 写真3

■後記
あつよ先生、LINDA先生、そしてヒイロ先生の三人の女性講師の方々、お忙しい中、『女塾』にご協力いただき、どうもありがとうございました。

《ただでさえ美しい女形市村》は今、ヨンパチの舞台へと巣立っていきます。きっと皆さんに満足いただける女形になってみせます。
もう、往年の和田アキ子とは言わせない。

それでは、皆様、11thGIG『GEIDO』 六本木アトリエ・フォンテーヌでお会いしましょう。


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