皆さま、秋の夜長をいかがお過ごしでしょうか。
金八先生の第八シリーズもはじまり、「俺に言わせりゃ裏サイトのほうが、よっぽどうぜえよ」と、武田鉄也扮する金八先生が違和感たっぷりに今どきの話題を口にするのを見るにつけ、「ああ、こうして金八も釣りバカ日誌みたいに永遠にリフレインされていくのか」と、腐ったみかんじゃない加藤世代の私は、少し寂しいような、感慨深い気持ちになったわけです。
そんな、秋です。
さて、『女形画報』第二弾。
≪市村圭蔵の女形は美しい≫という決して疑ってはいけない大前提のもと、ひょっこり、なかば強引にスタートしたこの企画。前回は過去GIGを振り返ってなんやかんや言ったけど、今回はそうもいかない。
断っておくけど、この写真は私じゃないから。
私でもいいけど、いやむしろ私だったらいいけど、違うから。
こっちが私。てーより、俺。浅草は雷門。
都内随一の観光名所でピースサインをしてしまった俺。
そして、浅草といったらすき焼きの今半。
の前で記念写真を撮る俺。
浅草寺で煙りをかぶる俺。
第二弾は浅草に行ってくるとメンバーに告げると、誰かが一言。
「女 形 で ?」
皆さん。なんて軽率な発言でしょうね。いやもう暴言です。これを《他人事》と言わずなんと言いましょう。
浅草ですよ。
台東区です。
ただでさえ新宿より西側に生まれ育った人間にとって、台東区はアンタッチャブルな区域なのに、あれだけ観光客が集まっている浅草の町を女形で歩けましょうか。ムリです。人科としてムリです。ましてや、あいつに会いに行くんです。がんばって黒スーツです。ヨンパチの正装です。
やっぱりね、一言挨拶しとかなきゃならんと思ったわけですよ。
今話題のあいつに。
同じ女形として。
繰り返す。
同 じ 女 形 と し て。
ハンカチ王子やハニカミ王子と並んで、三大王子の一人に数えられる。劇団朱雀の二代目。北野武監督『TAKESHI'S』に本人役で出演。
十六歳って…。
俺が『あぶない刑事』に夢中になっていた時、まだ生まれてねえよ。俺が二十代の様々な迷いや挫折の末に48BLUESに辿り着いた時、中二だよ。
挨拶ねえよ。ヨンパチの女形に挨拶ねえよ。
あのね、言っとくけど俺だってね、こんなゴテゴテした衣装とメイクしたら、これくらいになるよ。諸事情が許さないだけでさ、なあ、今回同行してくれたカメラマンのほりかわくん!
ほ 「でも、そんなこと言ったら誰でもなれるじゃん」
市 「そ、そうだね…」
デカく出たねぇ。四歳から!? ずいぶんおキャンなキャッチコピーをつけてくれたじゃないの。
四歳?四歳ね…。
なにも知らない目。ひどい…。ひどく無垢すぎる…。
そして隣りにいる女の子は誰だ。分からん。分からんが、ひどく顔が昭和だ。この写真、時代を感じます。庭に焼却炉があったんです。
そんなわけで、浅草は大勝館に、挨拶がてら流し目王子こと早乙女太一が出演する芝居を観に行ってきました。
後方を見るべし。
おおっ、ビートたけしの祝い花。
ほしい。ヨンパチにもほしい。言い変えれば、ほっする。
ちなみに大勝館は改築のため、今回の芝居を最後にしばらく休館だそう。歴史があるんですね。
さて、祝い花はひとまずあきらめて中へ。当日券を求める行列を横目に、予約番号を受付に告げる。
場内に入ると、居るわ居るわ、大衆演劇には似つかわしくない、明らかに早乙女太一目当ての若いギャル。女子高生。土曜日なのに制服。そして、俺は黒スーツ。ある意味、男同士で観に来ている俺たちのほうが浮いてる。おばちゃんにチラ見される。高速二度見される。そりゃそうだ。ふつう行かないよ。カップルならいざ知らず、ほりかわくんと二人。理由は違えど、目的は彼女らといっしょ。
まずは芝居からはじまり、終演後十分程度の休憩を入れて、最後に踊りや歌を披露する。いわゆるおひねりは、この踊りの時間に限るらしい。芝居では、早乙女太一は男役でした。
そして、これが待ちに待った早乙女太一の女形です。
夢中か!俺、夢中か!閉幕後、ロビーを走りぬける早乙女。その後を脱兎のごとく追いかける女子高生たち。大衆演劇では恒例の客の送り出しがはじまる。市村はよゆうの体で退場。ロビーで一服。
市 「ほりかわくん。俺、やっぱり握手しないとダメかな…」
ほ 「なんで?せっかくここまで来たんだからさ、がんばろうよ」
市 「でも、すごい人だよ」
ほ 「順番で回ってくるでしょ」
市 「順番てさ…。俺、ヨンパチだしさ。女子高生に混じって握手してもらうなんてさ、プライドっつーの。楽屋に招かれたいな」
ほ 「け、圭蔵…」
市 「憂鬱だな…」
ほ 「ぱっと握手して、ぱっと帰ればいいんだよ」
外に出てみると、早乙女太一の周りには柵が…。
人だかり。届かない。手が届かない。
間に合わない。塗るツケまつげとか、着物がどうとか、なにはともあれ、とにかく間に合わない。
最後に言っておきます。写真には収まりませんでしたが、早乙女太一と握手しました。男の手でした。ごわごわです。彼、手荒れしてます。
[後記]
山の手線の大塚と五反田より向こう側が苦手だ。下町が苦手だ。
浅草は、同じ東京でも、近くて遠い。電車で小一時間はかかる。なんだかすごい遠くまで来たようで、だんだん心細くなる。
以前、浅草の吾妻橋から出ている水上バスに乗ったら浜離宮に着いてしまい、ますます僻地に来たような気分になった。プチホームシックになった。
同じ東京なのに、なんか違う。川とビルディング。その隙を縫うように走る高速を見ると、さびしくなる。
苦手だけど、気になってしまう町、浅草。なんやかんや言ってまた行ってしまいそうだ。屋形船に乗りたい。
さて『女形画報』第三弾は、(仮)女形市村と愉快な仲間たちの座談会です。
どうぞお楽しみに♪