前にも書いた気がしますが、朝の駅の男子トイレは、行列の出来るトイレなのであります。便を催した男たちの、数少ない大便器を奪い合う国盗り物語。もとい。大便器盗り物語。世は戦国時代。群雄割拠。
そんな諸事情を誰でも知ってる朝の男子トイレ。本日朝、僕のお尻から「おはよう」を仕かけ始めて。慌てて男子便所に駆け込むと、
な、なんと工事中とのこと。しかも男子トイレのみ。おまけに警備員まで立っており。
しばらくは、この駅の男子トイレは、工事の為使えません。すんませ~ん。
と、のたまうではありませんか。
呑気か!お前、呑気か!
空気読めよ。せめて通勤ラッシュが終る時間から工事を始めてもよろしかろうよ。兵どもが夢のあと。悲壮感たっぷりに我慢しながら走ってく企業戦士を横目に。警備員が
横の誰でもトイレなら使えます。すんませ~ん。
だから、呑気か!
その最後につける、人を小馬鹿にしたような「すんませ~ん」にカチンときながら、並ぼうかどうか一瞬悩んだのだが。二人待ちなので、並ぶことを選択。長渕のしゃぼん玉「ぐずぐずしてちゃいけねえと照れずに思えた」の歌詞が脳裏をかすめながら。いや。僕を含めて。今、便所に入ってる人も含めて四人。ある意味、選ばれし男達。いや。言い方を変えよう。あと一センチでも動いたら、お尻から昨日食べた己の生き様が「おはよう」してしまうであろう四天王。そして、一歩でも動けば、社会的には「さよなら」が待ち受けている死天王。えらそうにサムライよろしく殺陣なんぞ語れなくなるわ。そんな背水の陣な男たちが今か今かと時が来るのを待ちわびてるのであります。ようやく、涙ながら。脂汗をダラダラ流しながら僕の番に。
母さん。負けずにすみました。
と、祈ってた矢先。物凄い暴力的な叩き方で
ガンガンガンガン!
と、扉を叩く音が聞こえるではありませんか。余りの勢いで扉が開いちゃうんじゃないかと言うような感じで。多分、次の人も「マジでおはようする五秒前」なのでしょう。しかしながら、便所に響くその音は、狂気すら感じる音感で。
こえーよ。すげー、こえーよ。
ふと。この誰でもトイレの広さにまた恐怖する次第で。要するにですね。ノックで返事が出来ないんですよ。扉と便器の距離が二メートルぐらいあるわけですよ。
皆さんなら、この恐怖にどう対応されますか?
取りあえず。
僕は今、おはようのさいちゅうです!
の合図を、壁を叩いてみたら、コンクリで全く響かず。トイレットペーパーの備え付けの所を鳴らしても、プラスチック製品でしかもトイレットペーパーに音が吸収され響かず。余りの恐怖に煮詰まりすぎて、お尻にトイレットペーパーを挟み、立ちあがり。ズボンを下ろしてるため、動きが
キョンシー
みたくなりながら、ピョンピョンと二メートル跳ねていき、倍ぐらいの勢いでガンガン扉を叩き返して。
お札を頭ではなく、お尻に張り付けながら。もう一度言う。
俺、キョンシーか!
いい奴だと思う。俺、いい奴だと思う。三度言うが。想いを近くで伝えようとする俺、いい奴だと思う。
また人生勉強になりました。
広い誰でもトイレにはうかつに近づくな。罠が待ってるぞ。